読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ばおわー旅行記

自転車旅の備忘録

故郷への旅 五日目(亀山~奈良)

7時半起床。朝飯として昨日買った菓子パンを貪る。キッチンへ行くと宿主家族の朝ごはんの残りのホットケーキがあり、誰も食べないのでありがたくいただいて食べた。めっちゃ冷めてたけど。
今日は距離的には大したことないけど、奈良に出るにはまた山を越えなくてはいけないからすぐに出発。宿主と常連のおっさんが見送ってくれた。この近くに用がある時はまたお世話になろう。いざ故郷へ!

25号線をひたすら行く。グーグルマップを見ればわかるように、本当に山しかない。まさに手付かずの自然といった感じで、こういった道を走ってこそツーリングて感じがする。18切符で奈良まで帰る時も、亀山~加茂の区間は電気ではなくディーゼルで走る列車である。電気を通すよりコストがかからないらしく、それほど人が少ないということだろう。このディーゼル車がまた旅情をかきたてるんだなぁ。山の間からたまにチラッとその青い車両を垣間見ることができるのだけど、普段ツンツンしてる彼女がたまにデレっとするのに似てる。彼女いないけど。

しかし見渡す限り山である。田舎とかいうレベルじゃなく、本当の山である。人もいないし交通量もほぼないしチャリダーとしては最高の道だな。たまにダンプが通るのはなんでかなと思ったけど、山から岩を削り出しているらしい。

f:id:oh-my-gahhhhh:20170401202217j:plain

こんな風景なかなか見られないからアガる。これだよこれ!

山を降りたあとは伊賀上野に向けて25号線を漕ぎ続ける。今日の行程では町らしい町はここしかない。忍者くらいしか有名なものは知らないけどどんな町なんだろう。とか考えているとあっという間に到着。伊賀城があるけどちょっと離れていてコスパ的に微妙なラインだったので保留にしながらとりあえず昼ごはんにする。

何たーべよ!って考えてると餃子の王将を発見。全然悪くない選択肢だから入ろうとすると、道の向こう側にも中華料理屋がある。どうせならご当地の店に行きたいのでその「味神館」に入店。中国語で会話してるから中国人が経営している店だろう。こんなド田舎まで中国から何しにきてんのかね、と思いながらチャーハン餃子のセットを注文。キムチ食べ放題だったのでいっぱい食べる。まぁうまい。チャーハンも美味い。が特筆するようなこともなくそこそこ満足して店を出る。時間は余裕があったけど、早く家に帰りたかったので伊賀城はパス。今度この地に来た時にしよう。次いつ来るかわからないけど。

伊賀から163号線をあとはひたすら行けば僕の故郷である木津川市へと着く。地図を見るとまた山だ。でも時間的には余裕があるから、安全第一でゆっくり行こう。そう決めた矢先だが、163号線はなんとも微妙な道で、歩道はないし割と交通量も多い。山の登り坂の車道を走るのはどうしても避けたかったから、結局その近くの大和街道や名もなき道をぐねぐねして走る。やっぱこういう道の方が、思いもしないようなものに出会えたりして面白い。そんなふうにして昔懐かしの南山城村に到着。ここは小学校の頃林間学校かなんかでいったところだけど、しかしド田舎やなぁ。僕の地元のすぐ近くがこんなド田舎だったとは...
163号線に戻って先を急ごうとするも、なーんかやっぱキケンな道だなぁ...できるだけ避けたいなぁと思い迂回ルートを考えていると、グーグルマップで木津川沿いに道を発見、コレだ!と思いこの道を通ることに。途中で恋志谷神社という素敵な名前の神社があったので立寄る。由来を調べてみるとなかなか素敵だった。気になる人はググりましょう。神社仏閣は個人のお祈りをする場ではないのでいつものように世界平和を祈ってから再出発。

そして木津川沿いの道を走っていると、道が二手に分かれている。川に沿った道はいかにもな山道だったのでこれじゃないやろと思って舗装された道を行くも、どうもグーグルマップさんは違うと言ってる。マジかよ。この山道かよ。引返して163号線に戻ることもできたが、マップ的には一応抜けられるはずなので思い切ってこの山道を行くことにした。車の轍もあるし。死にやしないだろ。

f:id:oh-my-gahhhhh:20170401202411j:plain

どんどん行くとどんどん道が荒くなる。ついに車の轍が消えたと思ったらそこには3人の釣り人が釣りの準備をしていた。ここまでか...と思ったが引返すのも腑に落ちないので僕が先を行こうとすると、「引返したほうがええんとちゃう?」と声をかけてくれた。僕は「もうちょっと行ってみます~」と答えたが今から考えると本当に向こう見ずな判断だった。

道はどんどん荒くなり、ついに「道」という概念から外れた光景になってしまった。小さな岩を登ったり、橋というにはいささかはばかられるような渡し木があったり、完全にハイキングコースである。絶望。失望。何をくすぶってんだと自分に言い聞かす。愛、自由、希望、夢。足元をご覧よきっと転がってるさ、と強がってみる。でも足元に転がってるのは石ころとやたらデカイ木の枝と落ち葉だけである。自転車を担いで滑らないように慎重に進む。滑ったら川の中にドボンでこれまで努力がまさに水の泡となってしまう。引き返そうか...いやもうちょっと...を繰り返していると結構な距離を歩いてしまったので、ここまできたら行くしかない!と決意した。男の子は一度やると決めたことを最後までやり通すのである。イチローさんもそう言ってるし。

しばらくするとようやく出口が見えて163号線に合流することができた。本当に良かった...この旅最後の山場を超えた。結局1kmくらい山道があった気がする...ハイキングコースを自転車担いで歩いたんだから俺にはもう怖いものはないという謎の自信が生まれた。はぁ疲れた。

このまま木津川市へ行っても良かったが、163号線が嫌いになりすぎていたので、33号線で奈良まで行くことにした。また山を越えるみたいだけど。しかし奈良というのは市内だけしか栄えてないなぁ。南の方に行けば秘境と呼ばれるし、今回も本当は十津川村まで行って玉置神社に参拝したかったのだけど、日程が限られていて行けない。なかなかご縁がないらしい。もっと功徳を積まねば。

山を越えるとそこにはようやく見慣れた景色があった。昔からチャリで奈良の色んな場所を探検していた記憶が蘇る。東大寺付近のコンビニでタバコをふかしているとなんか知らんけど涙が出てきた。
東京をでて、幾つもの山を越え、見慣れた故郷の風景にたどり着いたことよりもむしろ、今は故郷から離れて、夢を追って遠く東京まで来て必死にしがみついている自分は結局何処に居ても変わらない、そう思えたことが嬉しかった。

東大寺は相変わらず人がゴミゴミしてたのですぐ退散、鹿に挨拶して家路を急ぐ。聖武天皇陵の前を通過。父は昔この辺りに住んでいたらしい。父が昔見た景色と僕が今見ている景色はどれくらい変わったのだろう。そんなことを考えながら平城宮跡に向かう。この辺はもうホームといって良い。奈良ファミリーとかよく行ったなぁ。実家まではあとほんのわずかだけど、なんかすぐに戻るのがもったいなくて、適当にブラブラする。旅の終わりはいつもこうだ。いつまでも旅が終わってほしくない。時間つぶしに高の原(最寄駅!)イオンに寄ってみる。ちょっと自我を持ち始めてイキりだす中学生が多いこの感じが懐かしい。でも中学生なんて野山を駆け回ってハナクソほじってりゃええんやで。(それは小学生か...)もう19時前だったので意を決して実家へ向かう。通学路を通ると「あぁ、帰って来たんだなぁ」と改めて思う。10分ほど歩き実家が見えて来た。長かった。日に焼けて皮がめくれた顔。オイルで汚れた服装。母ちゃん見てくれこの姿。ボロボロだけどなんとかここまでたどり着いたよ。二階のキッチンには明かりが灯っている。

ただいま。腹が減った。メシにしてくれ。

 

本日の走行距離

だいたい90㎞


おわり